「種子島に舞台の熱を」脚本・演出家 荒木太朗の挑戦|種子島そだちの人

「種子島そだちの人」コーナーでは、種子島出身の人を取材し、島を出た人の生き方をご紹介します。

今回ご紹介するのは、2015年に演劇「若狭姫物語」を種子島で上演した荒木太朗さん。東京で劇団シアターザロケッツの主宰として活躍中の脚本、演出家です。

種子島での進学コース王道から、なぜか芸人の道へ

西之表市に生まれた荒木さんは、旧:種子島高校を卒業して、広島大学に進学、卒業後は大学院に進むのですが、なんと数ヶ月で大学院を辞め、芸人を目指して上京してしまいます。

当時はお笑いブームだったのもあり、日本中から芸人を目指す若者が東京と大阪に集まる時代でもありました。

この時、荒木さんとコンビを組んで一緒に上京したのが「アンガールズ田中」こと、田中卓志さん。

当時、アンガールズはまだ結成されておらず、田中さん、山根さんはそれぞれ別の相方と組んでいたのです。

その相方が荒木太朗さんでした。

しかし、世の中はそう甘くなかった

荒木さんと田中さんは、「ラスカルズ」というコンビで1年ほど活動しますが、残念ながら売れるまでは行かずコンビを解消。

荒木さんは芸能の仕事の中で見た「舞台の熱」に惹かれ、芸人から役者の道へと進むことになります。

本人が語るに「島暮らしでは体験したことがない熱気だった」ということで、「観客の目の前で生の役者が演じる」という迫力、空気感に惹かれたようです。

「もしも幼少期に、種子島で舞台に触れる経験があったとしたら、自分は舞台というものに対して、そこまで魅力を感じなかったかもしれない」というほど、荒木さんにとって舞台は未知で魅力的でした。

舞台に没頭し、自分の道が見える

役者として所属していた事務所は、映像から演劇まで手広く手がける事務所で、荒木さんは映像から舞台まで、いろいろな仕事を役者として経験していく事になります。

そんな中で、キャリアを重ねるごとに大きくなってきたのが「もっと全力で、舞台をやりたい」という熱でした。

思えばお笑いのライブも、演劇の舞台も、目の前の観客に向き合う自分が居て、全力をぶつける点は同じです。

芸人にも舞台役者にも共通する、その「生の演技、対面の熱量」こそが、荒木さんをずっと惹きつけているものだったのでしょう。

荒木さんは「舞台の世界に生きていく」事を決め、目的を共にする仲間と「演劇集団TEAM the ROCKETS」を結成。演劇の仕事にフォーカスしていきます。

時は2009年。役者としての道を歩み始めて、既に7年の月日が経っていました。

脚本、演出家としての活動がスタート

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仲間と年2回のペースで舞台公演を進めるうちに、徐々に脚本、演出まで手がけるようになりました。

独学ではありますが、次第に評価をあげ、この頃にはネット放送局の番組企画、構成を担当したことも。

やがて他の劇団、企画団体の脚本や演出も手がけるようになり、2013年にエンターテイメントに特化した「劇団THEATER the ROCKETS」を立ち上げます。

この頃、すでに自分は役者として舞台にほとんど立たなくなり、脚本、演出家としての活躍がメインになっていました。

思いがけない転機で凱旋上演

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きっかけは、意外な姿でやってきました。

脚本、演出家の仕事で、新しい企画を考えていた時のことです。

荒木さんは思わず「いつか、島で舞台をやりたいけどねー」とつぶやいていました。

そこでスポンサーから言われたのが「いつかってさぁ、いつだよ?」という言葉。

確かに、そうでした。

いつかやりたいと思いながら、じゃあ何が準備出来たらやれるのか?

いつ、それは準備できるのか?

なんとなく「いつか」を考えていた荒木さんは「今、やったほうがいい」と思ったのです。

そうして「種子島で上演する」という事を念頭に生まれたのが「若狭姫物語」です。

2015年、種子島に生の舞台が上陸

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実は、若狭姫物語は種子島で上演する前年に、池袋で上演されています。

その理由はいろいろありますが、理由のひとつが「実績があるほうが、島に持ち込みやすい」というものです。

島で上演するには、地元行政との協力も不可欠。となると、やはり東京で実績があるほうが行政も安心できます。

当初は西之表市民会館で上演しようと思い、西之表市役所から問い合わせたのですが、最終的に中種子町の「種子島こりーな」で上演されることになりました。

荒木太朗、故郷への凱旋上演。

島を出てから、20年が経っていました。

荒木太朗の挑戦

島内の進学コースを進みながら、舞台に魅せられ、長い年月をひたすら舞台に捧げる荒木さんの人生、いかがだったでしょうか。

誰もが真似できる生き方ではないですが、その分、誰にも真似できない方法で島へ「舞台」を持ってきました。

脚本、演出家としてこの先も活躍されていくと思います。

そんな荒木太朗さんの活躍は、以下のブログやfacebookで確認できます。

  • 劇団ホームページ

http://www.the-rockets.jp/

  • ブログ

http://ameblo.jp/theatertherockets/

  • facebook

https://goo.gl/D7go1X

  • twitter

https://twitter.com/gekidan_Rockets

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